先週、任意売却の売買決済が1件終了いたしました。
所有者のお一人がおじいちゃんで、数年前に脳の病気を患い、現在は後遺症もある為、施設で過ごしていました。
売却のご依頼を頂いた一昨年、言葉がうまくしゃべれませんが、認知症までには至らず、意思表示はできるとのことでしたので、お取引が大丈夫か確認の為に、司法書士の先生と訪問、お会いしました。
その際、ご家族から経済状況が悪化し、ご自宅を売却するとの説明を行い、同意を得ようとすると、おじいちゃんは首を横に振り、「嫌だ!」と…
みんなの中で、困ったとの重い空気が流れました、その時、同居する息子さんから、
「じいちゃん、ごめん、仕事がうまくいかず、このまま住むことができなくなった」
と、涙と共にお詫びをしたのです。
すると、おじいちゃんは、「売っても、いいよ」と首を縦に振ってくれました。
私も三世代で今まで仲良く住んできた自宅を売却せざる負えない状況を隣で寄り添いながら、拝見し、目頭が熱くなり、「ご家族のより良い将来の為に全力を尽くそう!」と心に誓ったのを覚えています。
それから、債権の移動や販売活動などで、1年以上の時間が経過、無事に売却が先週完了。
その二日後に、担当者から「おじいちゃんが亡くなられた。」と聞きました。
私は、おじいちゃんにお会いした際の首を横に振った姿が今でも鮮明に思い浮かびます。
任意売却を行い、本当に良かったのか?
ご家族の状況や、今後の生活を考えると任意売却が最善と思いますが、おじいちゃんにとっては…
お通夜の時間には他の予定があり、行けませんでしたが、夜、最後のお別れに伺いました。
受付にて、久しぶりに所有者ご夫婦にお会いし、いろいろなお話をお聞きしました。
引渡し、決済当日まで元気で、お亡くなりになる当日、急に容体が変わったこと。
最後まで、みんなを見守り、売買までがんばってくれたのでは… と、
最後にお会いさせて頂くと、穏やかなお顔でお休みでした。
手を合わせ、最後まで見守っていただいたことへの感謝と、ご冥福を祈りました。
帰り際に、おばあさん、ご夫婦、お孫さん夫婦、ご家族皆さんから、ありがたい感謝のお言葉をたくさん頂きました。
皆さんからのお言葉で、「任意売却で、良かったのか?」という迷いは、無くなり、これからも、ご相談者の為に、任意売却により、再スタートがより良くできるようにサポートしていきたいと決意が強くなりました。
これからの、ご家族の幸せと、おじいさんのご冥福を心から、お祈りいたします。
ありがとうございました。